シナリオの中で、葛藤を描くとはどういうことか?
こんにちは。サロンの吉野です。
今日はシナリオを書く上で、よく言われる「葛藤」についてお話していきたいと思います。
皆さんは、シナリオの学校などで、自作の発表をしたときに、講師の方や他の生徒さんから、「葛藤が無いんだよね」とか、「人物があまり葛藤していないように見えます」などのコメントをもらうことがあると思います。
それでは、ドラマでいうところの「葛藤」とは、一体何でしょうか?
人間は生きている以上、四六時中「葛藤」している生き物といえます。
私も例外ではありません。
このブログを立ち上げてから3週間が経ったと先日ご報告しました。
一応、毎日の更新は続けています。
しかし、まだまだアクセス数が少なく、よく言われる最低3ヶ月間は、ひたすらに書いて更新し、とりあえずの目標100記事を書くまでは頑張ろう!と誓ってはいるのですが、時折、心が挫けそうになることも頻繁にあります。
「このまま書いていても、相変わらず読んでくださる人はずっと少ないままなのではないか……。いや、頑張れば、必ず成果は表れる!」など、ネガティブな心とポジティブな心が、日々葛藤しています。
ちなみに辞書によると「葛藤」とは、植物である葛(かずら)や藤(ふじ)の枝が、もつれ絡み合うところからきている言葉だそうです。
その意味としては、
①人と人が互いに譲らず対立し、いがみ合うこと。
②心の中に相反する動機、欲求、感情が存在し、そのいずれかをとるかで迷うこと。
③(仏語)煩悶のたとえ。
ということです。
よくドラマは対立と葛藤だ!なんて言われた方をしますので、皆さんは①の対立し、いがみ合うことの意味で使うことが多いのではないかと思います。
ただ、今日皆さんにお伝えしたかったのは、②の意味を深く考えていただきたいということです。
人の心の中には、善の気持ちもあれば、悪の気持ちもあります。
問題になるのは、その相反する気持ちが、一つの状況で、同時に起こってしまう場合です。
例えば、ある女性が車の運転中に、ある男性を轢き逃げしてしまったが、後日自首しようした矢先に、その男性が幼女ばかりを狙う性犯罪者だとわかったら……。その女性はどうするのか?
もう一つの例です。
チンピラヤクザの車をへこませてしまい、慰謝料を脅し取られている女性が、いい加減にして欲しい気持ちから、夫とともにヤクザの自宅を訪ねるが、弾みで夫と二人でヤクザを殺してしまう。しかし、犯人として逮捕、起訴されたのは全く別人。しかも、その誤認逮捕、起訴された人の裁判に、女性が裁判員に選ばれてしまう……。
夫婦はどうするのか?
この二つの葛藤があるアイデアは、私が関わってきた方々のコンクールで良績を残された作品になります。
まさに、相反する動機、欲求、感情が存在し、そのいずれかをとるかで迷う状況が、しっかり描かれている作品です。
①人と人が互いに譲らず対立し、いがみ合うという葛藤は、比較的に作りやすいものです。
しかし、②の主人公一人の心の中に相反する動機、欲求、感情の存在は、意外に気づかないものです。
そこに焦点を当てた作品は、かなりの高確率で良い成績を残しています。
皆さんも、「葛藤」を考える際に、まずは自分の心の中の葛藤に的を絞ってみてはいかがでしょうか。
特に善の気持ちと悪の気持ち、両方にです。