シナリオコンクール対策の創作交流サークル「サロン」

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2時間ドラマを書くことのお薦め

こんにちは。サロンの吉野です。
今日は6月1日。本当に創作テレビドラマ大賞の締め切りまで、ジャスト一ヶ月になりました。


サロンの会員の皆さんが、今年は創作テレビドラマ大賞に向けて、非常に早いスタートを切っているということは、以前の記事でもご紹介しましたが、いざ本番の時期が近づきますと、若干の停滞が見られるようになります。
それは致し方のないことで、順調にいきすぎるのも、創作では危険な面があると思うのです。


応募枚数が上限55枚、放送時間実尺45分弱の創作テレビドラマ大賞に話を振っておいて大変に恐縮なのですが、コンクールにチャレンジされていく方は、是非とも2時間尺のコンクールに挑戦していきたいということを提案したいと思うのです。
2時間に一度もチャレンジしたことがない方。 
チャレンジしたことはあるが、しっかりと最後まで書き上げたことがない方。
以下に2時間を書くことの効用を述べますので、是非とも実行に移していただきたいと思います。


何故2時間を書くことが必要なのか?

1.2時間を書ける人がコンクールでは有利になる理由
かつては、コンクールに多い1時間単発のドラマが隆盛を極めた時期もありました。
現在のTBS日曜劇場です。
当時は東芝が単独スポンサーをしていて、東芝日曜劇場という名前でした。
1956年にスタートした東芝日曜劇場は、1992年まで1時間単発のドラマを放送していました。
それらの単発ドラマには、向田邦子さん、倉本聰さん、ら山田太一さんなどのビッグネームが脚本家として名を列ねていました。
しかし、同年1992年より連ドラ体制に移行してからは、1時間単発はなくなりました。
私は当時、毎週のように東芝日曜劇場を観ていました。
正直、作品の出来は多少のムラがあったように思います。
それは仕方のないことです。
現在の連ドラは、一話完結ものが多く、その一話一話を複数の脚本家が担当をしているケースが多いのですが、基本的なキャラクターなどは既に決まっている前提で書いています。
しかし、当時の東芝日曜劇場は、毎週全く新しい素材のお話を毎週作らなければならないのですから、ムラがあって当然でしょう。
ただ、その中でも名作と呼べるような作品も、実はたくさんあったのです。
要するに、脚本家にとって、良質な1時間ものを書くのは、2時間ものを書くよりも、とても難しい作業なのです。
そんな難しい1時間ものを、多くのコンクールが採用しています。
もちろん審査の効率やドラマ化したときの予算など、諸事情があるのは理解できます。
ただ、問題なのは肝心の1時間単発ものがあった時代を、年齢的に30代、40代の現在のコンクール審査員が観ていない事実です。
どういうことが推測できるかというと、皆さんがコンクールで書かれるシナリオは、連ドラや2時間ドラマしか観たことがない世代が審査しているということになります。
したがって、2時間尺で実力を発揮された方のほうが、正当な評価を得られやすいのではないでしょうか。
ですので、私はコンクールチャレンジの際は、2時間もの必ず書くようにお薦めしているのです。


2.プロになってから1時間ドラマを書くことはほぼない
映像作品に限りますが、皆さんがプロになってからは、1時間単発ものを書くことは、ほぼないと思います。
たまにある『世にも奇妙な物語』のような作品もありますが、例外といえます。 
また、連ドラが一話完結ものが多いというお話をしましたが、先ほど述べたましたように、主要なキャラクター紹介などがない段階での1時間ですので、実質は1時間以上、つまり2時間を書ける内容が必要になります。
要するに、現代では1時間を上手く書けるスキルが不要になっているのです。
ですので、プロ、それも映像シナリオのプロを目指されている方は、とにかく2時間以上のシナリオを書ける能力を身につけていただきたいと思います。


ただ、本当に私個人の願いとしては、良質な1時間ドラマを、また観られないものかな……と思う今日この頃です。



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