シナリオコンクール対策の創作交流サークル「サロン」

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他人の作品に対する評価は的確なのに、自分の作品を客観的に見つめることが苦手な人にある特徴

こんにちは。サロンの吉野です。
昨日はゼミがありました。
その中、一つの話題で大きな議論になりました。
話題になったのは、他人の作品に対しては、的確な指摘、コメントができるにも関わらず、自分の作品に対しては、中々客観的に見つめることができない……というジレンマがある人についてです。


ある会員の方は、私から見ても、「なるほど!」と唸ってしまうくらい他の人の作品、発表に対しては、的確なコメントができる人なのに、ご自分の作品になると、その欠点が全く見えなくなってしまう……というジレンマに陥っているように見えます。
この会員の方以外の人でも、他者のことはよく解るのに、いざ自分のこととなると、客観的な判断ができなくなってしまう……という人は、意外に多いのではないでしょうか。
「人の振り見て、我が振り直せ」ということわざがあります。
ゼミなどで他の方の作品に対してコメントを求めるのは、このことわざのように、他人の作品の良し悪しを冷静に分析することで、結果自分の作品を客観的に見つめることができるからです。
それでは何故、自分の作品だけを客観視することが苦手だという人がいるのでしょうか。


他人の作品を的確に捉えられる人は基本優秀な人
他の人の長所や短所を的確に把握して、それを言葉として発することができる人は、基本的に優秀な人です。
現に昨日のゼミで話題に上がった会員の方は、以前にコンクールを受賞したことがありました。
その会員の方曰く、コンクールを受賞した作品は、かなり前に書いたもので、しばらく経ってから自分でどこを直せば良いのかを分析して、改稿を進めたそうです。
答えはどうやらこの辺りにありそうです。
つまり書いてから間もない作品は、自分自身の思いが入り過ぎていて、中々それを客観視することができないということなのではないでしょうか。
おそらくこの会員の方以外の人で同じような悩みを持っている人でも、これは該当する答えになると思います。
結論としては、一度書き上げた作品を、「しばらく寝かす」ことが有効になるということでしょう。
「寝かす」期間に関しまして、人それぞれの部分もありますが、最低でも3日、出来れば一週間くらい間を空けるのがベターのように思います。
しばらくその作品から離れることで、自分の作品を他人の作品のように客観的に見つめる期間を作れば、冷静に必要な直しができるということなのでしょう。


自分の考えた話を他人に伝えることが下手な人
もう一つ、昨日のゼミで話題になったのは、100文字ストーリーやあらすじのように、はっきりとした話の輪郭が出来ていない段階で、「こういう話を作りたいんだけど……」と他人に説明するのが苦手……だという人についてです。
そういうタイプの人は、話を作る際に、どちらかという感性に頼りがちで、理論的に話の概要を説明するのが下手な人が多いようです。
もちろんシナリオを書く、ということは、理屈よりも感性が大事であることは言うまでもありません。
ただ、シナリオを執筆させてくれる前に、必ずといってもよいくらい、プロットというものを書かされる業界の流れがありますので、感性と理論を両立させるのは、シナリオライター志望であれば当然必要なスキルになります。
そもそもプロデューサーに、自分の考えた話を説明するのに、要領を得ない話し方をしてしまえば、その時点でお付き合いは終わります。
ですので、まだまだ詳細は語れない……という段階でも、おおよそどういう話なのかということは、理路整然と語れることが大切になるのです。
そこで昨日のゼミで提案したのが、以前このブログの記事でご紹介した物語を作る際に「数学的な公式に当てはめてみる」ということです。


数学的公式の各パーツに物語の各要素を当てはめてみる
自分の考えた話を、他人に説明するのが苦手だという人は、何も要素が決まっていないにも関わらず、いきなりストーリーらしいものを考えようとしてしまうからです。
いつも言っていることですが、ストーリーを組み立てるのは、一番最後で良いのです。
それではストーリーを組み立てる前に何をすれば良いのか?
それが、

テーマ=(キャラクター+設定)×モチーフ

の公式になります。

まずテーマです。
テーマは作者が物語を書こうと思う動機に当たるものです。
そして、その作品での作者の主張でもあります。
とにかく作家であれば、テーマは持っていていただきたいのです。


そして次にキャラクターです。
どういう人物を描きたいのか?を、ストーリー組み立ての前に決めてください。


そしてさらに次は設定です。
その話は、どういうシチュエーションで描くのか?を、ストーリーの詳細を考える前に決めてください。


そしてもう一つがモチーフです。
その作品のテーマを活かすのに、最も効果的な「物」、「事」がモチーフになります。
モチーフの概念については、色々な考え方がありますが、とにかく普段の生活の中で、皆さんが関心がある「物」、「事」を見つけるようにしてください。
それらが構想している物語の中で、思わぬ効果を発揮するモチーフになることからです。


このようにストーリーを組み立てる前に、「テーマ」、「キャラクター」、「設定」、そして「モチーフ」の各要素を決めておけば、構想している話の輪郭が見えてくるはずです。 
輪郭が見えてくれば、どういう話なのか?ということを、他人に説明するも容易になるのではないでしょうか。


いずれにしても、手っ取り早くストーリーらしいものを作ってしまうことから卒業するのが、矛盾するようですが、面白いストーリーを創ることに繋がると思うのです。



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