シナリオコンクール対策の創作交流サークル「サロン」

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よくシナリオで「人間をしっかりと描きなさい」と言われるが、どうすれば人間を描くことができるのか?

こんにちは。サロンの吉野です。
小説家を目指している人も、シナリオライターになろうとしている人も、よく指導を受けている先生などから、「もっと人間をしっかりと描きなさい」のような言葉をもらうことがあるのではないでしょうか。
なんとなく解った気がしても、よくよく考えてみると、「人間を描くって、どういうことだ……?」と、ますます悩んでしまうことにもなりかねません。
具体的に人間の「何」を描けば良いのかがわからない……?という人が、意外に多いのではないかと思うのです。


推理小説の大家、江戸川乱歩松本清張の共著である『推理小説作法』の中で、松本清張氏が書かれた章に、「探偵小説には、何故犯人は犯罪をしなければならなかったのか?を、もっと描かなければならない。 つまり犯行の動機が大事なのではないか」というような言葉があります。
さらに続けて、「動機を描くことは、その犯人の性格を描くことであり、人間を描くことである」とも述べています。
つまり松本清張氏は、「動機」こそが、人間を描くことに繋がる、とも受け取れるような言葉を残しているのです。
ただし、この言葉は探偵小説、推理小説の作法での「動機」、つまり犯行動機を指している言葉ですので、皆さんの中には、「別にミステリーを描きたい訳ではないので、動機なんて不必要……」とおっしゃる人もいるのではないかと思います。
ところが、推理小説などとは違う、いわゆる普通小説、普通シナリオでも、人が動いて、そこにドラマがあるのであれば、その人物の行動を促す「動機」は必要になってくるのです。
逆の言い方をすれば、「動機」が無いと人は動かない。人が動かないとドラマは生まれないのです。
要するに、ドラマとは人が動く(行動も感情両方とも)ことで発生するものであり、それを動かす一番大事なものが、いわゆる「動機」になります。
「動機」こそが、そのドラマの主人公の個性であり、主人公を描く、つまり人間を描く、ということになるのではないでしょうか。
松本清張氏は、おそらくそういう意味を込めて、著書に記しているのではないかと思うのです。


皆さんが小説を書く、シナリオを書く際に、「人間を描く」ことを目指されるのであれば、まずはその物語の主人公が何の目的で動かざるを得ないのか?(「動機」)を、しっかりと考えていただきたいと思います。



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