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ミステリーとサスペンスの違い

こんにちは。サロンの吉野です。先日土曜日にゼミがありまして、ラジオドラマのコンクールシナリオ本文の発表や、テレ朝のコンクールのあらすじなどの発表がありました。


何度かテレ朝コンクールのお題、「サスペンス」については、このブログでも触れてきましたが、どうやら「サスペンス」と、いわゆる「ミステリー」を同義語と思われている人が多いようです。
ただ、それは当然のことで、そもそもテレビ局自体がその違いを厳密に分けていないのですから仕方ありません。
かつて全盛を極めた、いわゆる2時間サスペンスドラマも、「サスペンス」要素よりも、犯人は誰なのか?を含めて、謎を解明していく「ミステリー」の要素が強いように思いました。
したがって、既に『相棒』を初め、刑事ものが非常に多いテレビ朝日が、何が狙いで今さら「サスペンス」というお題をコンクールに課してきたのかは、それこそ謎なのです。
ただ、謎のままでは対策は立てられませんので、本来の意味としての「サスペンス」と「ミステリー」の根本的な違いからお話をしていきたいと思います。


「ミステリー」はとにかく謎を解明していくことを目的にしているジャンル
大まかに推理小説のことをミステリー小説と呼ぶのが普通です。
つまり読者は作者から謎を提示され、読者はその謎を解明していくことに、楽しみを覚えるエンターテイメント小説のことを指します。
同様に、これまでテレビで放送されてきたサスペンスドラマの多くは、最後まで犯人がわからない……という構成で、クライマックスになってようやく謎が解明されるという段取りで進行させていました。
この手のドラマは、犯人は誰なのかを最大の見せ場にする「フーダニット」のミステリーになります。
これとは対照的に、犯人は予め視聴者にわからせておいて、完全犯罪を狙う犯人を、探偵役がどうやって自供に追い込むのか?に見せ場を作る方法があります。
これを「倒叙」と呼びます。
作品ですと、『刑事コロンボ』や『古畑任三郞』などが代表的なものになります。
サスペンスの括りで、これまでテレビで扱われてきたものは、この「フーダニット」と「倒叙」が圧倒的に多いと思います。
しかし、「フーダニット」も「倒叙」も厳密に言うところの「サスペンス」に当てはまるのでしょうか?
私は少し違うではと思います。


「サスペンス」の定義 それはハラハラドキドキされること
言葉で言うところの「サスペンス」は、サスペンダーという単語に表れるように、人の気持ちを宙ぶらりんにする、ハラハラドキドキさせることにあります。
つまり「サスペンス」の本来の意味は、犯人は誰なのかとか、犯行を自供させるという性質のものではなく、観ている人の緊張感を刺激し、ハラハラドキドキさせることにあるのです。
今回のテレ朝のお題は、「サスペンスミステリー」等ではなく、「サスペンス」の一語しかありませんでしたので、本来の意味で言うところのハラハラドキドキさせることが目的ではないか……と、私はにらみます。
ただし、お題を出されているのはテレ朝の方ですので、もちろん私の推論を正しいと決めつけることはできません。
ただ、いわゆるサスペンス、ミステリードラマの老舗といっても差し支えのないテレ朝が、これまで自分たちが散財やってきたドラマをコンクールに求めているとは思えません。
もしも、現在放送されているシリーズもののサスペンスミステリードラマの書き手不足解消が狙いだとしたら、少し失望に似た気持ちになるのも確かです。
そうではない新しい才能の発掘を祈るばかりです。



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