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ラジオドラマでの場面転換と独り言1

こんにちは。サロンの吉野です。
サロンの会員の方々にも、ラジオドラマを本格的に書いていきたいと思われている方は、少なくありません。
ただ、皆さん映像シナリオを書く勉強からスタートされていて、その癖から抜け出せていない面があります。
中でも、皆さん共通に苦労されているのは、場面転換の仕方と主人公の独り言の処理についてです。



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ラジオドラマでの場面転換
映像シナリオならば、○=シーンナンバー(柱とも呼ばれています)がありますので、その芝居がどこで行われているのか、一目瞭然でわかるようになっています。
ところがラジオドラマのシナリオでは、○がない、つまりシーンという概念が元々ないのです。
ただ、シーンは無くても、主人公を初めとする登場人物が、どこで芝居をしているのかは、明らかにしなければなりません。


例えば、先日拝読したラジオドラマのコンクールに応募する原稿に、こんなシチュエーションがありました。


主人公(男性)は会社勤めをしています。
仕事が終わって、自宅に帰りたいのですが、会社から自宅への場面転換をどうしたら良いのか?
というのが、このシチュエーションになります。
どうしたら良いでしょうか?


作者は、インターホンの「音」=SEだけで処理されようとしました。
自宅のドアにあるインターホンだと……。
しかし、インターホンは自宅だけにあるものでありません。
よその家かもしれませんし、自宅ではなく、恋人のマンションのインターホンかもしれません。
それだけで、主人公の自宅だということを特定するのは難しいでしょう。
どうことをお話したいかというと、ラジオドラマでの場面転換は、単純なSEだけでは、描写不足になってしまう可能性があるということです。
自宅を象徴する「音」を考えるのは言うまでもありませんが、その音プラス登場人物のセリフやモノローグで、場面が変わっていることを補足しなければならないのです。
私が作者に、まずは主人公とその自宅の雰囲気のする「音」を考えるようにアドバイスしました。
例えば、主人公は母親を暮らしているのですが、家に帰る(ここはインターホンのSEでも構いません)と、誰も空けてくれず、主人公は自分の鍵で空けます(ここもSEと主人公のセリフで処理できます)。
家に上がる(ここもSE処理)と、テレビの大音量の歌番組の音が聞こえてきます。
そこに母親らしい女性の声が、番組で唄っている歌手の歌声に合わせて口ずさんでいます。
そこで主人公が母親らしい人物に「なんだ、母さん、また~の歌聞いてるのかよ」
みたいなセリフのやり取りがあると、主人公とその女性の関係もわかりますし、母親の趣味などキャラクターも同時に紹介できたりするのです。
このように、ラジオドラマでは絵が見えないということが前提にななりますので、SE(音響効果)だけではなく、セリフ、あるいはモノローグを使って、複合的な描写をしていかなければならないのです。


次回もラジオドラマを書く際に、陥りやすい点、主人公の独り言について、お話していきたいと思います。