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表現の幅が広がるラジオドラマ 後編

こんにちは。サロンの吉野です。
前回に続き、ラジオドラマの特性とコンクールで受賞できるモチーフについてお話していきたいと思います。


今回は後編の「ラジオドラマコンクールで受賞できるモチーフ」についてです。
ラジオドラマでも、映像シナリオのコンクールで求められる意外性のある設定、そして斬新または普遍性のテーマを訴えていくということでは何の代わりもありません。
ただ、一つだけ大きな違いがあるのは、前編でも申し上げたように、ラジオドラマは、映像作品とは違って、極めて主観的な表現、題材が必要だということです。
その例として、作品には主人公一人の想いを、全編を通して貫いていく姿勢が大切だということになります。
そういった特性、特徴があるラジオドラマですので、選ぶ題材、つまりモチーフも、主人公個人の主観に基づいたものになってきます。
以下、過去にラジオドラマコンクールで受賞した作品を例にあげて、作者の方は、どのようにしてその作品モチーフを掴んだのかをお話していきたいと思います。
 

■ラジオドラマコンクールで受賞できるモチーフ

1.主人公一人の想いを一貫して通す話にする
ラジオドラマの多くは、「主人公はこういうことを思っていて、それを誰かに語りかける」という構成をとっています。
したがって、主人公がリスナーに語りかけるツールとして、モノローグ(語り、独白)が多用されるのです。
つまり、その主人公の語りたい想いを、他の応募者よりも差別化したものにできれば、コンクール受賞に近づけるということです。


過去の受賞作に、こんな話がありました。
「顔はブスなのに、モデル並みのスタイルを持っている同級生が、スーパーモデルになる夢を見続けていることに、平凡で特に目立つようなものが何もない主人公(女子高校生)は、自身の生き甲斐や夢について、どう考えていくのか?」を訴えかける作品です。
まさに主人公の平凡であることのコンプレックスを、誰か(リスナー)に向かって語りかける作品で、主人公の非常に主観的で個人的な悩み(葛藤)をモチーフにしていた作品でした。


もう一つの受賞作品を例をあげます。
鳴り物入りで来日した韓国人野球選手を、ずっと日本のプロ野球で活躍してきた在日韓国人選手はどう観るのか?」を、在日韓国選手(主人公)の視点で描いた作品です。
この作品は作者ご自身が在日の方で、在日(選手)のアイデンティティーのあり方を、世に訴えかけた作品でした。
言うまでありませんが、極めて主観的、尚且つ個人的な想いをモチーフにした作品です。


2.マイナーな人物に光を当てる
例えば、歴史上超有名とは言えないような人物を主人公に据えてみるなどです。
織田信長は超有名人ですが、彼の家臣だった『弥助』について、詳しく語れる人は少数派でしょう。
弥助は黒人だということは、多くの人は知っていますが、彼の波乱に満ちた人生を語れる人は少ないと思います。
実際に謎の多い人物ですので、フィクションの主人公としても、扱いやすい点があります。
このように、「全く知らない……というよりは、少しは知っているけど、詳しくは知らない」という人物に焦点を当ててみてください。
そういうところに、審査員は目をつけるのです。


3.伝説、風習、時代背景のある歴史ものなど
あまり人に知られていないその土地土地の伝説や風習をモチーフにすると、審査員の目に触れやすいと思います。
あるいは、歴史的な解釈が複数あるような時代ものなども、審査員は興味を持つはずです。
共通しているのは、どんな場所を舞台にしても、どんな時代を描いても、映像作品のようにお金がかからないということです。
したがって、作者の思うような作品世界を作っても、文句は出ないのです。
映像作品でもラジオドラマでも、今までにやられていないものがありましたら、是非とも作品化されることをお勧めします。


2回に渡ってラジオドラマについて述べましたが、これを機会に皆さんの創作表現の幅が広がっていくことを、切に願っています。



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