シナリオコンクール応募原稿で、最後にやること。それは『魂入れ』
こんにちは。サロンの吉野です。
昨日の続き、『魂入れ』についてお話します。
創作交流サークル サロンは、ゼミを中心に、それに付随するシナリオ診断を通し、シナリオコンクール受賞のノウハウを追求していく集団です。
従いまして、所属されている会員の方々には、ある一定の期間で、サロンのメソッドを学んでいただくことになります。
ただし、コンクール応募になれていない方にとっては、応募規定に合わせることだけでも、大変な作業になるでしょう。
特にシナリオコンクールに応募されている方々で、まず一番気にすることは、応募規定枚数に合わせて、作品を仕上げることだと思います。
規定枚数に足りなければ、エピソードなり何か足さなければ、失格になってしまう可能性があります。
逆に規定枚数をオーバーしても、同様の措置をとられてしまうでしょう。
基本的には、構成(ハコ書き)をしっかりとやっていれば、大きな枚数不足や超過が起きることはありません。
しかし、コンクールに応募されている多くの方は、枚数調整に四苦八苦してしまいます。
サロン会員の方でも、苦労している方は、いまだに多いのが現状です。
ただ、今回言いたかったのは、枚数不足でも超過でも、ラストの数ページは、同じ枚数を使った内容で調整しなければならないと言うことです。
つまりラストの数ページは、足りないしても、オーバーにしても、固定して動かしてはならないということを言いたいのです。
その理由は、クライマックスシーンからエンドロールが流れるまでに、私が考える『魂入れ』をしなければならないからです。
クライマックスシーンは、その作品の核になる部分ですので、最も枚数調整をしてはいけない場面であることは、お分かりだと思います。
問題なのは、クライマックスシーンが終わってから何を描くかですが、ここが起承転結で言うところの「結」の部分です。
この「結」の部分をいい加減に書き終えてしまう方が、非常に多いのです。
シナリオコンクールは、1時間から2時間の尺で公募されますが、1時間にしても2時間にしても、「結」の部分で使える枚数は、せいぜい3、4枚。時間にすると5分弱になるでしょう。
その短い尺の中で、皆さんがその作品に込めた想いを表現していただきたいのです。
時間、尺は短いですが、決してあっさりと終わるのではなく、まだまだこの作品を観ていたいという″余韻″を残していただきたいと思っています。
名作と言われる作品には、素晴らしい余韻のある「結」のシーンがあります。
例えば、『ローマの休日』
記者会見が終わり、王女退出の後、きびすを返すグレゴリーペックの靴音。
敵である医者の後を追う変装したアンソニーポプキンスの不気味さ。
まだまだこの作品を観ていたいと思わせる作品には、素晴らしい「結」のシーンが必ずあります。
私はこの心に残る「結」のシーンを描くことを
『魂入れ』と呼んでいます。
まさに「仏作って魂込めず」のような作品を作らないように心がけていきたいと思っています。