シナリオコンクール対策の創作交流サークル「サロン」

シナリオコンクール対策の創作交流サークル「サロン」は、シナリオ公募コンクール受賞のためのノウハウを徹底的に追求していく唯一無二のサークルです。

シナリオの勉強法3 "……と長ゼリフ"

こんにちは。サロンの吉野です。 

今日はシナリオの勉強法の3回目になります。

創作交流サークル サロンは、シナリオコンクール受賞のノウハウを追求していく集団です。従いまして、先日の記事でも述べさせていただいているように、シナリオ自体の精度を高めていく場でありません。

あくまでもシナリオコンクールを受賞して、プロのシナリオライターになる!ということを前提に、ゼミでもシナリオ診断でも、そこに焦点を絞って進めて参ります。

しかしながら、前回、前々回の勉強法でも述べましたように、きちんとしたシナリオ力がなければ、当然のことながら、コンクールを通る可能性も低くなりますし、ましてプロとしては、通用しないことになります。

前の2回の勉強法でもお話したように、ただ、やみくもに「書く」だけの練習法ではダメだということは申し上げましたが、基礎を習っているにも関わらず、その「書く」ことすら、上手くいっていない方が、非常に多いように思います。

先日、「シナリオを書くということは、芝居を描くということ」というお話をさせていただきました。

そこで、技術的に芝居を描くということは、どういうことなのか?を、述べさせていただきたいと思います。

 

皆さんは、シナリオを書く上で、……を使わないように、と思っている方はいらっしゃいませんか?

……つまり言葉に発すると「てんてんてん」と言われるものです。

もちろんやたらと……だらけになってしまっては、ダメに決まっていますが、シナリオ表記上、……も重要な要素になるのです。

 

例えば、婚約指輪を渡そうとする男性A男と、それを受ける立場の女性、B子のシーンで、こんなセリフの応酬があるとします。

 

A男「ずっと会えなかったんで、いつ渡そうかと思ってたんだ。もらってくれるね?」

B子「……うん」

A男「……どうしたの?」

  B子、指輪の箱を受けとって、

B子「……ありがとう」

A男「(不安な眼差しで)……」

 

上記のシナリオに……が、4回出てきます。

これを……無しのシナリオに直したのが、下記になります。

 

A男「ずっと会えなかったんで、いつ渡そうかと思ってたんだ。もらってくれるね?」

B子「うん」

A男「どうしたの?」

  B子、指輪の箱を受け取って、

B子「ありがとう」

 

ずいぶん違った感じのシナリオになりますね。

上記は、役者さんに芝居をさせているシナリオです。

B子のA男との結婚に躊躇いがあること。そんなB子を見て、不安に感じるA男。

その気持ちが、シナリオ上に表れています。

下記は、役者さんが、何を考えて喋っているのかが、非常に解りにくいシナリオに見えます。

つまり上記のシナリオこそが、私が考える芝居を描く!ということなるのです。

従って、……も、良いシナリオを書く上で、非常に大切なものなんだ!ということが、お分かりいただけたかと思います。

 

もう一つ、「長ゼリフ」についても述べさせていただきます。

長ゼリフは、ともすると「説明ゼリフ」になってしまうから、書いてはいけない!と思っている方は多いと思います。

その通りです。

状況を説明するために、セリフが長くなってしまうのは、極力避けなければならないのは言うまでもありません。

ただし、芝居を描く上では、長ゼリフが必要な場面もあるのです。

 

例えば、恋人同士のA男とB子のデート前。B子はA男の優柔不断な振る舞いが許せなくなるシーンでの会話です。

 

B子「今日、どこ行く?」

A男「どこって、いつもところでいいじゃん」

B子「いつもあそこじゃいやだ!」

A男「お前も好きだったじゃない」

B子「好きだったのは過去。今じゃない」

A男「どこ行っても、そう代わり映えしないって」

  B子、立ち上がって、

A男「ど、どうした?」

B子「ふざけんな! 代わり映えしないのはお前の頭なんだよ。いつもの場所が好きだって言ってたのは、お前に気使ってたからっていうことがわからないのかよ。だいたいな、お前のような発展性のない男は……(延々と続く)『」

 

B子が、いつも変わらないA男にキレた場面です。

つまり人間は、感情が激してくれば、必然的に長いセリフを吐くものなのです。

シナリオを書く上で、「セリフは短めに」には正解の一つでありますが、長くなければ感情を伝えられないことも、人間にはあるのです。

 

以上、シナリオを書く際は、杓子定規に何でも捉えず、人間の感情に則した表記をしていただきたいと思います。

それがストーリーだけを書くのでなく、そこにドラマがあるのか?を追求することに繋がると思うのです。