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どうしても説明したいときは小道具に語らせよう

こんにちは。サロンの吉野です。
一昨日のゼミで議論になったことをお話します。
それはシナリオを創作する上で、度々話題に上がる「説明」についてです。
以前の記事でも説明については触れてきましたが、ゼミでのこの話題のきっかけを作ってくださった方が、シナリオを書くのが久しぶりだということでしたので、初心者の方々も含め、もう一度、シナリオにおける説明についてお話していきたいと思います。


人間関係を解らせる説明
人間関係、人物関係を解らせる方法として、初心者やしばらくシナリオから離れている方が、よくやってしまうのが、お互いのセリフのやり取りで、その関係を解らせようとすることです。
ここでも何回述べています、いわゆる『説明ゼリフ』というものです。
例えば、主人公が成人してから、かつて自分を苛めていた人物と再会したとき、「昔、俺はお前に苛められていたんだ!」などと、その関係をセリフで説明してしまうケースです。
ただ、こういったケースは、少しシナリオを書くことに慣れてくれば、それがあまり上手いやり方ではないことに気づきますので、問題は最小限に抑えられます。
それよりも深刻なのは、手っ取り早く関係を解らせる方法として、『回想シーン』を利用してしまう人が、慣れている方々にも多数いるということでしょう。


回想シーンも下手な説明に過ぎない
映画やテレビドラマ、特にテレビドラマで回想シーンが多用されていることから、シナリオの学校などで「回想シーンは、なるべく使わないようにしましょう」と言われても、納得がいかない人が多いようです。
実際、プロの現場では、予算等の様々な条件のもとに、シナリオを作らなければならないので、なるべく効率よく視聴者に「解ってもらう」必要が生じてくるのです。
その効率良さの一つが『回想シーン』になります。
つまり、プロの現場でも、手っ取り早く視聴者、観客に解らせる方法の一つとして、回想シーンを多用しているに過ぎないのです。
ただ、多くのクリエイター(脚本家)は、条件が整えば、回想シーンなどで、その状況や関係を「説明」などはしたくないのです。
そうです。回想シーンも説明ゼリフ同様、上手いとはいえない「説明」なのです。
何故ならば、クリエイターは人物の作ったもの、ドラマで言えば、シナリオを視聴者や観客に解らせたいのではなく、「感じさせたい」という願望があるからです。
ですから、出来るだけ安易な説明は避けたいと考えています。
そういった願望を持ったクリエイター、つまり脚本家、シナリオライターが好んで使うツールが『小道具』です。


小道具は口ほどに物を言う
下手な説明をしたくないときに、古今東西のクリエイターが、よく使うものに『小道具』があります。
誰も知っている小道具は、「シンデレラのガラスの靴」でしょう。
ガラスの靴という小道具があることで、王子様はダンスパティーのとき、心をときめかせた女性を探すことができたからです。
それを説明ゼリフや回想シーンで、「あのときの女性は、こんな顔でこんな髪型で……」などと誰かに説明していたら、興醒めもよいところです。
上手い小道具の使い方を勉強したいと思われる方は、ビリー・ワイルダー監督の作品やアフレッド・ヒッチコック監督の作品を観ると良いかなと思います。
たった一つの小道具を見せることで、登場人物が5分も10分も喋らなければ伝わらない状況や関係が解ってしまう……というより、感じさせることができる!
シナリオにおける『小道具』は、まさに「口ほどに物を言う」ものだと思います。



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