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シナリオ発想法4 歴史上の人物の描き方 

こんにちは。サロンの吉野です。
昨日は、ゴールデンウィーク真っ只中ではありますが、ゼミを開催しました。
いつも通りに、会員の方々に来ていただき、いつものように実りの多い発表がありました。


皆さんは、実在した歴史上の有名な人物をモチーフにシナリオを書こうと思ったときに、どうゆうアプローチをされますか?
例えば、織田信長を描こうと思ったら、織田信長そのものを主人公にして描くでしょうか?
そして、その書いたシナリオをコンクールに応募するとしたら、どういった配慮が必要になると思いますでしょうか?


正直、歴史上の有名な人物を、コンクールに応募する作品の主人公そのものにするのは、非常に難しいと思います。
その理由は、有名な人物であれば、誰かしらが必ず小説など、他の媒体でフィクションとして描いているからです。
仮にそういったフィクションの原作が無いにしても、歴史学者などが、多くの資料をもとに研究されています。
ですので、新作として発表するからには、余程新しいエピソードを見つけなければ、審査員を目を引くのは無理でしょう。


昨日のゼミで、ある会員の方から、非常に可能性のある発表がありました。
その発表は、歴史上の有名な人物に光を当てつつも、描きたいその人は主人公にしないというものです。
コンクールの題材に関することなので、詳しくはお話しできませんが、とても面白い話になるのではないかと期待が膨らみました。
ただ、具体的なことは話せませんが、どうした面白くなるのかは述べることできますので、以下、その方法についてお話します。


三者である架空の人物を主人公に据える
主人公には、架空の人物を据えることをお勧めします。
その利点は、実在しない架空の人物を主人公に据えることで、歴史上有名な人物を、作者の主観とは思わせずに、作者の思い描く人物像として描くことができるからです。
実在した歴史上の人物には、当然のことですが、その時代に生きてきた実人生があります。
例えば、「織田信長
信長という人物は、歴史上の人物として、とても人気があるのですが、その生涯での功績は、後世で評価が割れる面があります。
彼を主人公にして描こうと思えば、作者のスタンスとして、信長の良い面、負の面いずれかに重きを置いて描かないと、非常に説得力のない話になってしまうでしょう。
要するに、信長像を作者の主観で描かなければならないのです。
当然、そこには作者の信長に対する思いを、読む者、観る者に押しつけてしまうことになります。


一方、第三者を主人公にして、その人物の視点で描いていけば、そこに客観性が生まれます。
実際は作者の描きたい信長像だとしても、そこに第三者である主人公の目が入ることで、強制的な押しつけにはならなくなります。
したがって、信長の良い面、負の面いずれもリアリティーのある人物として描くことができるのです。


あえて後世で評価の割れる人物を描く
シナリオコンクールで、歴史上有名な人物を描きたいと思えば、あえて後世での評価が分かれる人物を描くことです。
前の項目で、織田信長を例にとりましたが、後の世で評価が割れるような人物には、フィクションの材料として、非常に魅力があるということです。
例えば、遠山の金さんで有名な北町奉行遠山景元
彼は江戸庶民から絶大な人気がありましたが、同じ頃、庶民から嫌われ、悪名を轟かせた南町奉行、「鳥居耀蔵」という人物がいました。
彼に光を当ててみると、よりその時代がどういった時代だったのかがわかります。
いわゆるピカレスクものとしても面白いですし、人から嫌われながらも、鳥居耀蔵なりの正義を描くこともできます。
無論、前の項目で述べたように、鳥居耀蔵本人を主人公にするのではなく、主人公は第三者の立場にするのが良いと思います。
実際、耀蔵は当時の治安回復に大きな功績を遺した人でもありました。


他にも評価の割れる歴史上の人物はたくさんいますが、あまり多く例にとってしまうといけませんので、今回はここまでにさせていただきます。
とにかく歴史上有名な人物を描く際は、フィクションとして、客観性のある描き方をしていただきたいと思います。



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