シナリオコンクール対策の創作交流サークル「サロン」

シナリオコンクール対策の創作交流サークル「サロン」は、シナリオ公募コンクール受賞のためのノウハウを徹底的に追求していく唯一無二のサークルです。

雰囲気のある作品 雰囲気が無い作品 シナリオコンクール審査での無視できない感覚

こんにちは。サロンの吉野です。
6月はシナリオコンクールの締め切りがとても多いのですが、皆さんが応募される作品をシナリオ診断で拝読するときに、いつも感じることがあります。
それは、その拝読した作品に「雰囲気」があるか無いかということです。
「雰囲気」とは、wikipediaで検索すると、『ある特定の場所や事物、人物を取り巻いて感じられる光、音、匂い、気配を総体として捉えて語ったもの』とあります。
わかったようでわからない説明ですが、要するに理屈ではなく、何かその作品の中に、良い意味で人間の五感を刺激する特別な感覚があること……ともいえばわかりやすいでしょうか。
いずれにしても、他人に説明しづらい感覚であることは間違いないようです。


先日、拝読した作品の中に、この「雰囲気」を物凄く感じる作品がありました。
作者の方は、その作品を形として発表できるまでに、相当苦労をされてきたようですが、苦労の甲斐があって、最初の一頁、正確に言うと、あらすじの初めの三行で、この「雰囲気」を感じてしまったのです。


雰囲気の正体
私としては、シナリオコンクール受賞の方法、ノウハウを徹底的に追求していく集団の主宰をしている身ですので、人に語る場合、「何か雰囲気があるんだよね……」では済まされるものではありません。
つまり、「雰囲気」とは何なのか? その正体を理論的に説明できなければならないのです。
良いシナリオを書く、創るということで、このブログの中でも様々な項目を述べてきましたが、おそらくそれらの項目を、しっかりと押さえてきた作品の中に、いわゆる「雰囲気」を感じるられるものがあると思うのです。




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モチーフと主人公の感情のあり方
例えば、項目として述べてきたものに、「モチーフ」があります。
作者が元々持っているテーマ(主張、主題)を描くために、最も相応しい事物を見つける。それがモチーフです。
「雰囲気」がある作品には、間違いなく良いモチーフがあります。


正体のもう一つには、主人公の「感情のあり方」があります。
多く人が普段はあまり感じない感情、心情。
「ああ、人間にはそういう感情があったんだ……」と意外に思う感情です。
そういう感情を持った主人公に出くわすと、読んでいる者の多くは引き込まれます。
いわゆる「意外性」があるからです。
ただし、意外性だけでは、全く引き込まれない人もいます。
通常、自分に無い感情を示されると、「自分には関係のないこと……」という冷めた目で見られることが多いからです。
つまり、意外性は他人を引き込む要素があるのですが、意外性だけでは、不完全な面があるのです。
そこで大事になってくるのが、「説得力」です。
「ああ、人間にはそういう感情があるんだ……」という『意外性』に、「言われてみれば、自分にもそういう感情ってあるかもしれない……」
それが『説得力』です。
要するに、主人公の感情に『意外性』があって尚且つ『説得力』があるもの。
そんな主人公が登場してくる作品に、私は「雰囲気」を感じるのです。


今回は雰囲気の正体として、①「モチーフ」と②「主人公の感情に意外性と説得力があるもの」と2つに絞ってお話してきましたが、雰囲気を感じるものは、他にもたくさんあります。
とにかく、雰囲気のある他人の作品をたくさん読んで、そこからご自分に合った雰囲気の作り方を学び、構築していただきたいと思います。




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