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一本のシナリオ作品として見た山ちゃん蒼井優の結婚会見

こんにちは。サロンの吉野です。
先日、南海キャンディーズの山ちゃんこと山里亮太さんと女優の蒼井優さんの結婚会見を観ました。
高齢者が起こしてしまう交通事故や通り魔が引き起こす事件など、暗いニュースばかりの昨今です。輪をかけて金融庁から年金の他に2000万円持っていないと、これからは生きていけないと言わんばかりのご通達……。
そんな世の中の理不尽や社会の矛盾が一気に吹き出たような昨今の日本ですが、お二人の結婚会見には、そんな社会に対して、一服の清涼剤を処方してもらったような爽やかさがありました。
こんな思いをしたのは、おそらく私だけではなく、日本の多くの人が、このような印象を持たれたのではないでしょうか。


ただ、一応シナリオを齧っている身の私としては、感動した出来事や琴線に触れたことを、作劇術のあり方に置き換えてしまう癖があります。
ということで今回は、山ちゃんと蒼井優さんお二人の結婚会見を、良質な一本のシナリオ作品として捉えてみたいと思います。


作劇術として見るお二人の結婚会見

1.ギャップのある関係性
まずお二人の結婚で、大多数の人が感じたことは、二人にあるギャップにあると思います。
方やブサイクモテないキャラの男性芸人。もう一方はモテまくりの恋多き女優。
シナリオ作劇術でも、バディームービーの法則として、デコボココンビが良いとされます。
例えば、単純に一方が背が高ければ、もう一方は低いとか、あるいは一方が太っていれば、もう一方は痩せているとかなどです。
今回のお二人では、一方がモテなくて、もう一方がモテまくっているというギャップも、非常に面白い組み合わせです。
かつて大ヒットしたドラマ『101回目のプロポーズ』を観ているようでした。
また、ブサイクでモテないとされていた男性が、意外に男気があってカッコ良く見えたという『意外性』もありましたし、魔性の女のように言われていた女性が、意外にどこにでもいる気さくで可愛い人だという『意外性』もありました。
この『意外性』というのは、私がいつもお話しているコンクール受賞に必要な三原則にも繋がることです。
通常、あり得ない……と思えるような設定に、場合によっては、人は心を動かされるんだ!ということの証明になるお二人の関係性だと思いました。

※〈教訓1〉
作劇術として、人物間の関係性のギャップを作ることが大切。


2.良い意味でのキャラクターの裏切り
1でも述べましたが、これまでお二人が周囲から見られていたイメージを、良い意味で覆す会見でした。
人は「あの人はこういう人だ」というイメージを勝手に作っている面があります。
ドラマや映画のキャラクターも同じで、このキャラクターはこんな感じ……というイメージを持って鑑賞しています。
ただ、場合によっては、その凝り固まったイメージを覆したほうが、物語としては面白くなることがあります。
まさに今回のお二人は、両者ともに凝り固まったイメージを良い意味で覆した好例のように思いました。
ただ、逆の場合もありますので、ご注意ください。 
例えば、3年半前に大きな話題になった、いわゆるベッキーのゲス不倫問題です。
この場合のベッキーは、悪い意味でのキャラクター裏切りでしたので、ドラマのキャラクター作劇術としても使用注意になります。
皮肉にも、ワイドショー的なネタとしては、逆に面白かったのですが…。


お二人の会見で、もう一つ良かったのは、蒼井優さんのお父様のエピソードです。
魔性と言われる女優のお父様が、芸人顔負けのお茶目キャラクターであることで、彼女の親しみやすいキャラクターのさらなる補強になっていて、より一層の好感に繋がりました。
主人公、副主人公以外のキャラクターにも、細心の注意を払うという良い教訓にもなると思います。

※〈教訓2〉
良い意味でキャラクターを裏切ることは、物語を面白くするカンフル剤にもなる。


3.大事なセリフは一番最後にとっておく
お二人の会見で、私が素晴らしいなと思ったのは、蒼井優さんが山里さんに惹かれた一番の理由を述べた時です。
彼女は一番最後になってしまって申し訳ないと前置きした上で、山里さんの仕事に対する姿勢を上げました。
ドラマや映画の作劇術としても、一番肝心なセリフは最後にとっておくことが、観客、視聴者の心に響かせる最良やり方です。
これ以外でも、心に残るセリフがいつくもあった会見だったと思います。
やはり何と言ってもドラマはセリフです。

※〈教訓3〉
大事なセリフは最後までとっておく。


4.観客・視聴者の期待を裏切らない結末
もう一つ、私が一番素晴らしいと思ったのは、山里さんの言った言葉、「頑張っていれば、良いことが起きるんだな」です。
まさにこの言葉は、ドラマで言うところのテーマを述べている部分です。
ブサイクと言われようが、モテないと言われようが、自分の信じるところにしたがって頑張っていれば、いつか良いことが起きる……。
人は実人生にも、フィクションであるドラマにも、このような言葉に期待しながら生きていくのではないかと思うのです。

※〈教訓4〉
どんなドラマでも、作者の主張であるテーマは必要

 
お二人の結婚会見を、作劇術になぞらせてお話してきましたが、今回の会見はお二人のお人柄そのものがよく現れていたものだと思います。
ただ、これもシナリオを齧っている者の性かもしれませんが、お二人は漫才の台本を手掛ける作家であり、その台本を演じきる女優であることも確かなのです。
そういった意味も含めて、非常に見事な舞台(会見)だったな!という感想も、併せて覚えた次第です。



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