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主役が主人公とは限らない映画色々

こんにちは。サロンの吉野です。
作品を書くときに、誰が主人公であるのかを、はっきりとさせることは、非常に大事です。
コンクール作品の中には、主人公よりも二番手の人物のほうが魅力的だ、なんていう批評をもらうものが結構多くあり、その作品が受賞しまうことがあるから、話は複雑になります。
つまり主人公よりも、二番手、いわゆる副主人公のほうが魅力的であっても、作品としては、そこそこの評価をもらえるという裏付けになってしまっているのです。
しかし、いつもお話しているように、「主人公の成長変化を最大に促していくのが副主人公の役割」であって、大事なのは、皆さんご自身が据えた主人公の成長変化を描くということには変わりないのです。


ただ、実際に公開されている映画の中には、キャスティングの中で一番重要視されている俳優、いわゆる「主役」が、その映画の物語の「主人公」ではない場合が起こりうるのです。
今回はそんな珍現象についてお話していきたいと思います。



映画『タイタニック』の主人公は誰か?
タイタニック』といえば、レオナルド・ディカプリオが主役!と思っている方が大多数だと思います。
その通りで、キャスティングクレジットでもトップに名前が出ている、まさに「主役」でした。
ただ、この映画のストーリー上の主人公は、ケイト・ウィンスレット演じるローズという女性だということをご承知でしょうか。
何故ならば、その物語で成長変化していくのは、ディカプリオ演じるジャックではなく、自分の意思で動くことが許されない深窓のお嬢さんだったにも関わらず、真に自立した女性に成長変化するローズその人なのです。
ジャックは、そのローズの成長変化を最大にサポート、そして促していく、まさに副主人公だったのです。


オードリー・ヘップバンは主役か?
ローマの休日』という名作がありますが、この映画の主人公は、王女を演じたオードリー・ヘップバンだということは、誰もが疑いようがないでしょう。
王女の役目に、いい加減嫌気がさしていたが、新聞記者と淡い恋を経験することで、自身の役目の重要さに目覚めていく!というのが、主人公の成長変化でした。
まさに主人公です。
ただ、この映画の「主役」は、オードリー・ヘップバンかというと、実は違っていて、新聞記者を演じていたグレゴリー・ペックなのです。
映画のタイトルクレジット以下をご覧ください。
彼の名前がトップに出ています。
当然、俳優としての実績があるペックと、新人女優だったオードリーでは、役者の格からして、映画の主役は誰なのかは明らかです。
このように、ハリウッド映画では、主役と主人公が違う……という現象が非常に多いように思います。
私の思うところ、ハリウッドでは、「きちんと主役扱いしてくれれば、別に物語の主人公ではなくてもいいよ」という暗黙の了解があるのではないかと思うのです。
ただ、この流れは日本映画やテレビにも波及してきています。
皆さんの創作の勉強には、特別影響するわけではありませんが、この主役か主人公かの問題を、興味を持って観ていただくと、ちょっとした楽しい時間になるのではないかと思います。



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