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今後、日本でも『ジョンQ~最後の決断~』のようなソーシャルクライシス・クライムサスペンスのような映画が作られるのかもしれない?

こんにちは。サロンの吉野です。
お昼過ぎに、テレビ東京で毎日のように放送されている映画枠がありまして、先日、その一本を録画して、昨晩に観ました。
作品のタイトルは、『ジョンQ~最後の決断~』です。
2002年にアメリカで制作され、デンゼル・ワシントン主演の作品でした。
私は2002年公開当時に、この作品を観ているのですが、改めて観ると、これからの日本では、この映画のようなことが起きるのかもしれないな、と切実な思いを感じました。


簡単なあらすじを申し上げます。
会社からリストラ候補に上げられた主人公(デンゼル・ワシントン)は、正社員からパートタイム社員に格下げされます。
そんなある日、息子が移植しなければ助からない心臓病にかかり、
主人公は妻とともに、病院へ心臓移植の希望を伝えました。
しかし、会社から正社員からパートタイム社員に下げられた折りに、加入していた医療保険も、同時にランクの低いものに勝手にされ、高額治療に当たる息子の心臓移植には、保険が利かないという状況になってしまいました。
手術も含めて4500万円もする治療費を、現金で支払わなければ、移植者リストにも載せないという病院側の姿勢にブチキレてしまった主人公は、息子の移植手術を要求するために、拳銃を持って病院に立て籠るのでした。


社会不安が犯罪に駆り立ててしまう現実
この映画の背景には、2002年当時、アメリカ国民5000万人が保険診療を受けられないという現実があったのです。
この映画の影響があったこともあり、オバマ前大統領は、2010年国民皆保険を目指した、いわゆる「オバマケア」を大統領選の公約にし、その後成立させたのです。
しかし、トランプ大統領になってからは、逆に選挙公約だった「オバマケア廃止」の動きが活発になり、その存続が、現在危ぶまれています。
このように、アメリカでの医療保険問題は、流動的で現在も決着がつかないような問題なのです。
いずれにしても、『ジョンQ~最後の決断~』という映画は、アメリカ社会に社会保障問題という難題に一石を投じた作品だったのです。



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日本では無関係なことなのか?
医療保険ではありませんが、老後年金だけでは2000万円が足りない……ということが、この日本でも大きな話題になっています。
これまで日本は、北欧並みではないにしても、社会保障が行き届いている国であるとされてきました。
ただ、この2000万円問題が浮上してからは、薄々そうことになるんじゃないか……と危惧していたことが、いよいよ現実問題として意識されるようになり、社会的な危機として捉えられるようになると思います。
となれば、クリエイターがこの危機を創作のネタにしていかないはずがありません。
名づければ「ソーシャルクライシス・クライムサスペンス」(※完全に造語です。英語的にも合っているのかどうかわかりません……)と呼べるような映画やドラマが、日本でも創られていくかもしれないのです。
ただ、創作者の端くれとしては、このような斬新なモチーフの作品を観られることの喜びと、そんな映画が作られてしまう日本の世相への憂いが、二律背反する矛盾を感じるのです。



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