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主人公が一切成長変化しないパターンもある

こんにちは。サロンの吉野です。
昨日はゼミがありました。
ここ数回、ドラマにおいての主人公と副主人公のあり方について述べてきました。
昨日は創作テレビドラマ大賞応募者のシナリオ診断がいくつかありまして、その席でもこの主人公と副主人公の関わり方が、診断の重要なテーマになりました。
ゼミの中でも、その話題に触れる部分があったのですが、今回は変則的な主人公と副主人公の関係についてお話していきたいと思います。


泰然自若とした主人公の役割
映画でもテレビドラマでも、主人公がものに動じず、慌てふためくこともない人物であることが、少なからずあります。
例えば、篠原涼子さんが主演の『ハケンの品格』などは、スーパー派遣社員である主人公の
大前春子は、淡々と自分の仕事をこなしていて、自身の現在の環境や境遇に、特に不満などは持っていないように見えます。
したがって、「自分はどうなりたいのか?」とか「今のままで良いのだろうか……」などの、いわゆる葛藤がないのです。
ドラマというものは、まず主人公にのっぴきならない葛藤があって、その葛藤を克服していくことで、「成長」または「変化」する!という基本的な構図があります。
それとは別に、主人公が泰然自若としていて、あまり心情的に動かない、そういった基本構図には当てはまらない変則的な作品が、少なからずあるのです。
このような作品では、主人公は、基本的に成長も変化もしないのですから、変わっていくのは副主人公以下になります。


スーパーマンのような主人公に感化されている人物
主人公が泰然自若としているドラマでは、泰然自若としているだけではなく、スーパーマンのような能力や強い個性を、主人公自身が持っているというケースがほとんどです。
そして、ある面浮き世離れした主人公と接触し、感化されていく人物は、ごく平凡でどこにでもいるような人物、つまりそのドラマを観ている観客、視聴者=我々と同じ目線の人物なのです。
要するに、そのドラマで成長または変化してもらいたいと制作者サイドが思っているのは、登場している人物ではなく、観ている観客、視聴者なのではないかと思うのです。
したがって、このような変則的なドラマは、観ている側に何かを訴えかけたい!という狙いがある場合には、非常に効果があるのではないかと思います。
例えば、最近流行っている「お仕事ドラマ」などは、最も適したジャンルでしょう。


安易な使い方は疑惑を持たれる源
我々、観客、視聴者を成長変化させるという狙いで、このような変則的なドラマが作られるのであれば、大歓迎なのですが、最近妙な噂を耳にします。
主人公が成長も変化もしない……。泰然自若としていて、感情の高揚があまりない……。
その理由が、どうも俳優さんの演技力の問題なのではないか……という噂です。
確かに芝居があまり上手くない役者さんを、ある意味無個性、無感情にしてしまえば、演出する側からすれば楽かもしれません。
そういった主役クラスの俳優さんがいることも、確かではあります。
だからといって、無個性、無感情な主人公ばかりのドラマを観させられる我々は、ドラマそのものに興味が薄れてしまいます。
とにかく感情を表に現さずに、ロボットのような主人公のドラマばかりでは、観ている側は面白くありませんので、制作者の方々には
その点をしっかりと考えて、ドラマを作っていただきたいと思います。



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