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物語では恋に理由は必要!

こんにちは。サロンの吉野です。
「恋することに理由はない」という言葉があります。
「恋することに理由はいらない」でも、「恋することに理由は必要ない」も同じ意味になります。
 

シナリオ診断を受けられた方の作品に、「男女間に恋愛感情があるのかないのか」が、作品のキーワードとして、重要な位置を占めるものがありました。
この作者にとっては、恋愛、つまりラブストーリーがメインの話を書くつもりではなく、テーマは他にあるんだ!ということは、読んでいる私にも十分にわかっていますし、詳しいことは言えませんが、そのテーマ性が非常に良いということもわかっています。
ただ、この作者は、女性主人公と男性副主人公の接着点、つまり関係性を作るために、安易に「恋愛っぽい」関係にしてしまったのではないか……と思うのです。
しかし、この記事のタイトルで示したように、現実社会では、男女ともに「恋をすることに、特別な理由は必要ない」ということもあるのですが、ドラマの世界では、「絶対に必要になってくる!」のです。


好きになる理由が大事
現実社会では、男女ともに恋愛をするとき、「好きになった理由は、自分でもわからないけれど、好きになっちゃったんだからしかたない……」と相手への想いを語る場面があります。
実際に、恋愛では、よくわからないけど、相手のことが好き!というケースが多いのだと思います。
ただ、ドラマ(映画やテレビドラマ等)では、理由も解らずに相手のこと好き」と宣う登場人物を、観客、視聴者は許してくれません。
何故ならば、観客、視聴者は、赤の他人である登場人物に感情移入したくてたまらないからです。


つまりこういうことです。

1.「自分でも、どうして恋をしちゃったのかわからない……」というようなことを言ってしまう登場人物、特に主人公や副主人公には、観客、視聴者は感情移入ができません。

2.感情移入ができない登場人物が出てくるドラマを、観客、視聴者は面白いとは思いません。

3.面白いと観客、視聴者が思ってくれなければ、お客さんは劇場(映画館・テレビの前)に入ってくれません。

4.同様の事情で、コンクールでも審査員は、そのシナリオを面白いという評価を下してくれないのです。
結果、落選してしまいます。


つまり何気なく人間関係を恋愛関係にしてしまったつもりでも、それを第三者の立場である観客、視聴者は、その関係の理由を求めてくるのです。


親子の愛情、夫婦の愛情、友達への友情などは、あまり理由を求められない
登場人物間の関係性の中でも、観客、視聴者から理由を求められるのは、恋愛関係だけといっても過言ではないでしょう。
ドラマの中では、親子の愛情を扱うものがありますし、夫婦の愛情を扱っているものもあります。
また、友だちへの友情を扱っているドラマもあります。
これらの愛情、友情には、観客、視聴者は、「どうして愛情が芽生えたのか?」とか「何故、友情が沸いてきたのか?」など、理屈っぽく考えないのです。
それは親子も夫婦も、そして友情も、大多数の人々が「親子の愛情とは、こういうものだから!」という共通認識があるからです。
それに比べて、恋愛関係には一般的な共通認識というものがありません。
それだけ多種多様だからです。
したがって、シナリオで恋愛関係、恋愛感情を描きたかったら、「どうして恋をしてしまったのか?」を、必ず登場人物の履歴に書かなければならないのです。



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