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『Love Letter』は韓流ファンタジーラブロマンスの原点

こんにちは。サロンの吉野です。
今年1月にBSフジで放送され、録画してあった映画を、昨晩観ました。
1995年公開の『Love Letter』という作品です。
岩井俊二監督初の劇場用長編作品で、主演は中山美穂さんです。
久しぶりに観てみると、改めてよく出来た作品だなと思います。
簡単なあらすじを申し上げます。

浩子(中山美穂さん)という若い女性が主人公で、彼女の婚約者だった男性が山で遭難して亡くなっていたというところから物語は始まります。
婚約者の何度目かの法事に訪れた浩子は、婚約者が中学生の頃、北海道小樽に住んでいたことがわかります。
そこで浩子は、婚約者の中学校の卒業アルバムを見つけ、彼の自宅の住所を発見します。
今は道路になってしまっているという、その彼の元自宅へ、浩子は懐かしさのあまり、手紙を送るのでした。
ところが数日後、届くはずがないと思っていた手紙に、返事がきたのです。
しがも、亡くなった婚約者の名前で……。
ここからはネタバレになってしまいますので、興味のある方は映画をご覧になってください。
今回、皆さんにお話したいことは、この映画の見事なまでのプロットをご紹介することではなく、『Love Letter』という作品が、一大ブームになった韓国ファンタジーラブロマンス映画に与えてきた影響と、それでも尚これらの映画の追随を許さない独自性についてお話していきたいと思います。


韓流ブームの原点は『Love Letter』にある
時空を越えたファンタスティックなラブストーリーを得意とし、その切なさを表現する俳優の演技も相まって、韓国ラブロマンス映画は、一時代を築きました。
その代表的な作品が『イルマーレ』であり、『リメンバー・ミー』になります。
両作品ともに、2000年に劇場公開されたものでした。
どちらの作品も、非現実的で、尚且つ超常的な時空の歪みが生じ、それが切ないラブストーリーの大きなモチーフになっていました。
そして、これらの作品に大きな影響を与えたのは、1995年に日本で公開され、その後韓国や台湾でも大ヒットした『Love Letter』なのです。
韓国では中山美穂さんの「お元気ですか?」というセリフが流行語になるくらいの大ブームになったのです。
改めて『イルマーレ』や『リメンバー・ミー』を観てみると、如何に制作者が『Love Letter』という作品をリスペクトしてたかがわかります。
映画ではありませんし、ファンタジーでもありませんが、韓流ブームの象徴であるドラマ『冬のソナタ』にも、雪という小道具を上手く使っている点から、『Love Letter』の影響を多大に受けているふしがあるのです。
ただ、『Love Letter』と『イルマーレ』などの韓国映画作品には、大きな違いがあります。
それは『Love Letter』という作品には、ファンタスティックな要素があるにも関わらず、非現実的、超常現象的なものが一切入っていない点なのです。


リアリティーのあるファンタジー
ファンタジー作品の最大の欠点は、そこにリアリティーを担保することが難しい点にあります。
しかし、『Love Letter』という作品には、非現実的で、超常現象的な要素が一切入っていないにも関わらず、一級のファンタジー映画とも呼べる質の高さがあるのです。
おそらく韓国映画制作者サイドは、どうしたら非現実的な要素を取り除いて『Love Letter』と同水準の作品を作れるかで悩んだと思います。
しかし、それは簡単には叶わず、ともすればリアリティーにかける超常現象を採用せざるを得なかたったのではないでしょうか。
ただ、その緊急避難的な措置が、韓国ラブファンタジーという新たな分野を作ることに役立ったことも否定できません。


いずれにしても、『Love Letter』という作品は、リアリティーのあるファンタジー作品として、他の追随を許さない佳作として、その名を永遠に遺していくものだと思います。
ただ一つ、この作品にも欠点があります。 
ここだけはネタバレになってしまいますが、性は違っても、同姓同名の人物が、同じクラスに在籍できるのか?という、唯一のあらを除いては……。



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