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物語を作ろうと思ったら、現在からちょっと先の世の中を想像してみる

こんにちは。サロンの吉野です。
昨日はゼミがありました。
その中で議論になったのが、「お墓」についてです。
どうして「お墓」が議論になったのかというと、会員の方のコンクールのネタがきっかけですので、あまり詳しいことはお話できません。
ただ、時代の移り変わりとともに、「お墓」に対する我々の認識が変化しているのでは?という、直接的にはコンクールとは関係のないところで議論になったのです。


人間が想像したことは実現する
話は変わりますが、我々が想像したことの大半は、実現する!という言葉をご存知でしょうか?
もう少し具体的な言葉ですと、『人間が想像したことは、人間が必ず実現する』
ジュール・ヴェルヌというフランス人作家の言葉です。
作品に『月世界旅行』や『海底二万マイル』、『八十日間世界一周』など、いわゆるSFの世界を描いた作家でした。
日本でいえば、明治時代の頃の作家ですが、彼が書いた小説の内容は、彼が発した言葉通り、すべてといって良いほど、後の世で実現しました。

ヴェルヌが活躍した時代は、産業革命とほぼ同時期でしたので、確かに科学技術が発達してきた段階では、数十年先でも未来が読めることがあります。
現に、1952年に発表された手塚治虫の『鉄腕アトム』で描かれた人形ロボットは、現在に置いて、ほぼ実現していますし、1984ジェームス・キャメロン監督の作品『ターミネーター』は、人間が機械に支配される話でしたが、ご承知の通り、AI技術の進化で、空想の話では済まなくなっています。
このように、科学の進歩によってもたらされた技術は、我々が想像したことを、ほぼ実現してきていると言えるのです。
しかし、人間が直接関わること、例えば、風習とか生活習慣、生活仕様などは、正直5年先も読めない面があります。
その一つの例が、昨日のゼミで議論になった「お墓」です。


7、8年前は『樹木葬』が新しい概念だった
7、8年前になると思いますが、私がシナリオの勉強で関わってきた方が、『樹木葬』というモチーフを使って、創作テレビドラマ大賞に応募され、その作品が最終選考まで残ったことがありました。
当時、私はその方の作品を事前に拝読し、『樹木葬』という概念の新しさから、コンクールではかなり良いところまでいくのではないか!と思いました。
実際、結果として最終選考までいったのですが、最終までいった理由の一つは、間違いなく『樹木葬』というモチーフの斬新さにあると思っています。
ところが現在、『樹木葬』というモチーフを扱った作品を書いたとして、7、8年前のような結果を残すことができるでしょうか?
おそらくモチーフの新しさで勝負することは難しいのではないかと思います。
つまり科学技術の進歩による想像は、数十年先でも実現が可能なのですが、人間そのもの営み、例えば風習や習慣などは、絶えず変化していて、それを予知し、結果として実現に繋げていくのは、非常に難しいのではないか……と思うのです。
樹木葬』に関していえば、現在では、それが当たり前のようになり、特に目新しいことではなくっているのです。
最近、『墓仕舞い』とか『墓守り』などのキーワードが巷を賑わせていますが、この題材を今、例えばコンクールの題材に使ったとして結果はどうでしょうか?
たぶん、『樹木葬』同様、キーワードとしては古いものになってしまうと思います。


5年先の世の中を想像してみる
要するに、科学技術の進歩とは直接的に関係のない人間の営みや風習、習慣などは、5年先も読みにくいということなのです。
逆を言えば、それが読めるようになれば、新しい概念として受け入れられることになります。
まさに7、8年前の『樹木葬』が良い例です。
やみくもに「読む」と申し上げましたが、時代を「読む」ためには、常日頃からの皆さんの『関心』が一番必要なことだと思います。
常に新しいものはないか?という視点で、ものごとに関心を持っていただきたいと思うのです。



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