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ストーリーは「結末」から考えて、「発端」に遡る

こんにちは。サロンの吉野です。
昨日はゼミがありました。
今回のゼミも橋田賞新人脚本賞テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞を見据えた発表で盛り上がりました。


会員の皆さんの発表、特に100文字ストーリーの発表で、いつも感じることがあります。
100文字の中に、とても面白い要素が入っているのですが、一つの文章、一つの作品のログラインとしては、何かまとまりの無い、整合性の無いものになってしまっていることです。
例えば、モチーフはとても良いのですが、テーマが見えにくいものあったり、100文字ストーリーの中で、話の「結末」は見えるのですが、話のきっかけになる「発端」との繋がりが、上手くいっていないなど、ストーリーに絶対に必要な「発端」と「結末」の繋がりに不備があるものが非常に多いのです。
そこで今回はストーリーの「発端」から「結末」に至る創作工程についてお話していきたいと思います。


まずは「結末」から思い浮かべる癖をつける
ストーリーを組み立てるときに、事の始まり、つまりその話の「発端」から思いつく人がいます。
一方、最初にストーリーの「結末」、いわゆるクライマックスシーンを思い浮かべる人がいます。
「発端」から入る人も、「結末」から考えている人も、一つのストーリーとして組み立てようとすると、全体的にちぐはぐになってしまう人が多いのは同じです。
物語の出だしは思い浮かびやすいのに、結末まで考えが及ばない……。
結末は素晴らしいのだが、発端になるエピソードが上手く思い浮かばない……。
サロンでは100文字ストーリーでも、必ず「結末」を書いていただくようにしています。
何故ならば、物語(ストーリー)は「結末」から考えて、「発端」も含めたそれ以前の話を逆算で考えるようにするとまとまりのある、整合性の取れる話になるからです。
 

皆さんの中でミステリー(推理)小説を、よく読まれる人がいらっしゃるかと思います。
推理小説を手に取るとき、当然ですが、読者は小説の出だし、つまり「発端」の部分から読み始めます。
その後、様々な事件が起こり、真相、結末に向けてのヒントが読者に与えられます。
それらのヒントを得て、読者は「結末」を推理していきます。
つまり読者は、  
「発端」→「ヒント」→「結末」というような流れで話の全容を理解していくのです。 
それでは推理小説を書く作家は、どういう流れで話を作っていくのでしょうか?


多くの推理小説作家は、犯人は誰か?などを含め、「結末」から考え、話を紡いでいきます。
要するに、「結末」が大前提になっていて、その「結末」を得るための「発端」を作り、また、中間では読者を惑わせるためのトリック、併せて正解に導くための「ヒント」を与えるようにします。
つまり作者は読者とは逆の工程、
「結末」→「発端」→「ヒント」
で話を作っていくのです。


「結末」のアンチテーゼで「発端」を作る
推理小説を例に上げて、「結末」ファーストのお話をしました。
それでは推理小説ではない、一般の話ではどうすれば良いのでしょうか。


昨今、孤独死が社会問題になっていますが、例えば、皆さんの考える100文字ストーリーの「結末」が『人の死を看とってあげる』ことが、その作品のクライマックス(「結末」)であり、テーマだとします。
その「結末」ならば「発端」は『人の死を看取らない』または、『看取れなかった』というところから入るのです。
要するに、「発端」は「結末」のアンチテーゼにしていくということなのです。
こうした「結末」→「発端」という流れを作っていけば、100文字ストーリーはもとより、その後のあらすじ、本文執筆で苦労することが少なくなっていくはずです。
つまり、まとまりの無い話、整合性の無い話を作ってしまうこともなくなるのです。


とにかくお話を考える人(例えばシナリオライター)ならば、読者(視聴者、観客)が話を理解する工程の逆から考える癖をつけていただきたいと思います。



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