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日本テレビ『24時間テレビ』のドラマ  「実話に基づいて……」は本当に視聴者の感動を呼んでいるのか?

こんにちは。サロンの吉野です。
今年も夏の風物詩のひとつといえる日本テレビ系列の『24時間テレビ』が放送されました。
42回目というのを聞いて、私の人生の大半は、この『24時間テレビ』とともにあったのだな、感慨無量な面がありました。
大いなるマンネリズムだとか、善意の押し付けだとか言う人もたくさんいるようですが、一年に一回くらい普段は気恥ずかしくて出来ない「いいこと(良いこと)」を、考えたり行動に移したりするのも悪いことではないと思うのです。
ピークは過ぎたとはいえ、毎年安定した視聴率を叩き出しているのは、この一年に一回のお祭りを楽しみにしている人も、少なからずいるからだと思います。
ただ、こちらも毎年定例になっている『24時間テレビ』のドラマですが、長年ドラマに関わって私としては、一言もの申しあげたいことがあり、今回の記事のテーマにさせていただきました。


「実話……」は創作の大敵
今年は嵐の相葉雅紀さん主演で、自転車競技、ロードレース選手として、実在する人物を描いた作品でした。
「実話に基づいた話……」とか、「実際にいる人物をモデルにして……」という括りで、ドラマや映画の企画を進めることは、今に始まった訳ではありませんが、昨今その頻度が増えているような気がしています。
ドラマを語る上で、主人公の葛藤を創るのは基本中の基本になります。
その葛藤を「実際にいる人物の……で」にしてしまうことが、とても多いように思えるのです。
本来、ドラマでの主人公の葛藤は、作者が最も頭を捻って考え出さなければならないものだと思います。
それを「実際にいる人物の……」にしてしまうのは、創作者の怠慢に他ならないと思うのです。
例えば、ドラマのカセ、主人公の葛藤として「難病(もの)」がありますが、これを採用する企画のほとんどは「実話に基づいた話……」、あるいは「実際にいる人物をモデルにして……」になっているのではないでしょうか。
裏を返せば、「難病もの」をやりたいときは、その病にかかってい実在の人物を、わざわざ探してくる……と疑ってしまうくらいです。
こうした「実話神話」を作り出した一因は、『24時間テレビ』が例年、長年放送するドラマにある、と私は思うのです。


本来ドラマは「フィクションなのに感動できる!」に持っていくべき
初めにも述べましたように、『24時間テレビ』は、大いなるマンネリズムをある意味武器にして、ここまできている面があるのは確かだと思います。
数百人で縄跳びをしたり、障害のある方が登山や遠泳で目標を達成することを、感動の押し付けという目で見るのではなく、素直にチャレンジする人の尊さとして評価するのが、『24時間テレビ』を楽しむ、そして感動する秘訣だと思います。
ただ、これは私見になってしまうかもしれませんが、ドラマはフィクションだからこそドラマだと思うのです。
世阿弥の『虚実皮膜』ではありませんが、本当では無いことを本当のように観せるからドラマは感動できるのです。
「実話神話」に汚染された創作の現場は、衰退の道を歩んでしまうと、私は思います。
ただ、42年間続いてきた『24時間テレビ』ですので、来年はドラマの方でも、新しい試みを必ずされていくと確信しています。
そんな気持ちで今年も、同じく「マンネリ」と言われているマラソンのゴールを楽しみに観ていきたいと思います。



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