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シナリオの勉強法6 シナリオ構成術とフィギュアスケートのプログラムの相似関係

こんにちは。サロンの吉野です。
今回はシナリオの構成術についてお話したいと思います。
皆さんは、シナリオを書くときに、「構成」というものを意識して書かれますか?
構成については、シナリオの学校などでも、基礎の段階でカリキュラムに入れている場合が多いのですが、「正直、構成って何をすればいいの……?」、「それよりも何よりも、構成って何?」のように、構成という言葉、あるいはその意味がわかっていない方が、実は非常に多いという事実があります。
おそらく「構成」とか「構成術」という用語が、とても理屈っぽいイメージがあって、中々受け入れられない面があるのかもしれません。
わかりやすい言葉で構成とは何か?と申しますと、

『芝居を面白く見せるために、盛り上がる場面を作ったり、逆に落ち着かせる場面を配置するなど、ストーリーに起伏を持たせていくこと』

だと、私は思っています。

そこで今回は、出来るだけわかりやすい例として、フィギュアスケートのプログラムとシナリオの構成術の相似関係についてお話させていただきたいと思います。


皆さんは、フィギュアスケートをご覧になっていますか?
例年10月くらいから、翌年の3月くらいまでがシーズンで、グランプリシリーズや世界選手権などで、非常に日本で人気のあるスポーツです。
浅田真央さんや羽生結弦さん、紀平梨花さんなどが有名ですね。
今さらそんなわかり切ったことを言うな!とお叱りを受けるかもしれませんが、選手の名前ぐらいは知っていても、競技の内容までは
、あまり詳しくない……、そもそも興味がないという方も、意外に多いようです。
ですので、今回の記事は、フィギュアがどんな内容のスポーツで、その競技を支えるプログラムというものはどんなものなのかを知っている方にしかわからないと思います。
あまり詳しくないという方。興味がないという方は、これを機会にフィギュアスケートをご覧いただくことをお勧めします。



フィギュアスケートフリープログラムとシナリオの構成

フィギュアスケートの競技には、ショートプログラムと言われるものと、フリーと呼ばれる2種類のプログラムがあります。
ショートとフリーの得点を合わせたものが、競技者の成績になります。
今回は、フリーのプログラムの作り方と、シナリオコンクール、主に1時間ものの構成の仕方について、その相似点をお話していきます。
さらにわかりやすくするために、現在の有望選手である紀平梨花さんのフリープログラムを例にとって話を進めたいと思います。


1.まずは冒頭で観客を惹き付ける

〈フィギュアの場合〉
紀平さんの持つ大技、トリプルアクセルを飛んで、観客を沸かせる。
さらにトリプルアクセル+トリプルトゥループのコンビネーションジャンプで、一気に観客を、自分のペースに巻き込んでしまう。


〈シナリオの場合〉
とにかく冒頭の10分間に、「何じゃこれは!」と観客の目を覚まさせるような大きな見せ場を作る。
場合によって、ダブルの衝撃を与えても良い。

※構成第1段階として、フィギュアスケートもシナリオも、とにかく冒頭のシーンは、何が始まるんだという期待感と衝撃で、観客を引っ張っていくことが大切です。


2.物語の世界の中に観客を浸らせる

〈フィギュアの場合〉
コンビネーションスピンやステップなどで、観客を心地よい陶酔へ導く。
その間、ジャンプを適度に配置して、観客を飽きさせない。


〈シナリオの場合〉
途中で席を立たれないように、あるいは寝られないように、大技小技を上手に織り混ぜながら、観客を作者の世界に誘導していく。

※この段階は、冒頭で与えた衝撃(見せ場)は何だったのか?の説明を入れながら、知らぬ間に観客を作者の作る世界へ引き込んでいくことが大切です。


3.最大の山場を作って観客の関心をラストまで離さない

〈フィギュアの場合〉
冒頭で見せたトリプルアクセルと同等の大技(トリプルルッツ+ダブルトゥループ+ダブルトゥループの3連続コンビネーションジャンプやレイバックスピンなどで、演技をクライマックスへ持っていく。


〈シナリオの場合〉
物語の解決、主人公の成長変化などの要素を入れながら、それを最大のクライマックスシーンへと繋げていく。

※ラスト、とにかく観客をハラハラドキドキさせて、一体主人公の運命は、最後にはどうなってしまうのだろう?と思わせるようなクライマックスシーンへ持っていくことが大切です。


4.後味の良い結末へ

〈フィギュアの場合〉
ラスト、演技の完全な成功を期待して待つ観客の拍手歓声と歩調を合わせるかのような、余韻の残る終わらせ方。


〈シナリオの場合〉
この主人公を、もう一度見てみたい!
この話の続きが見たい!と思わせるような、余韻の残るエンディング。

※映画ならば、パート2が見たい!ど思わせるような期待と余韻の残るラストシーンを作ることが大切です。
 

シナリオの学校などで、「起承転結」や「序破急」、「発端・葛藤・解決」など、色々な構成用語を学んだと思いますが、今回の内容で、その用語のイメージが掴めましたでしょうか?

実際にフィギュアスケートをご覧になって、選手がどうやって得点を稼ぐようにしているのかなども頭に入れながら、その工程をシナリオの構成になぞらせていただくと、よりわかりやすくなると思います。