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シナリオの勉強法7 コンクールの構成は小バコを中心に考える

こんにちは。サロンの吉野です。
前回の続きまして、構成についてのお話をさせていただきます。


以前の記事で、シナリオの構成をする中で、ハコ書きを作ることが有効だというお話をしたかと思います。
皆さんの中にも、コンクール作品を書く際に、ハコ書きを作っている方が多いのではないでしょうか。
それでは、皆さんはどういったハコ書きを作っていらっしゃいますか? 
一般的にハコ書きは、起承転結、序破急などのように、大まかな区分で作る「大バコ」があり、それを何分の一かに短く区分した「中バコ」があります。
私が今回の記事で、コンクールの構成として皆さんにお薦めしたいのは、さらに短くしたシーンごとに区分する「小バコ」です。


コンクールを書いている方の陥りやすいことの一つが、主人公が一体誰なのかが解りづらい書き方しているということです。
「そんなバカなこと絶対にない!」とおしゃる方が多いと思います。
しかし、読む者、審査員からすると、例えば賞を取った作品でも、「主人公よりも、脇役の誰々さんの方が良い味を出しているよね」なんて批評をもらうくらい、主人公の影が薄い作品は、非常に多いのです。
こういう批評をもらっても、賞を取れるということは、相当他の要素で加点をもらっている方に限りますので、一般的には、誰が主人公なのかわからない作品は、良い成績を残すの難しいといえるでしょう。
つまり、主人公の存在感が薄い作品は、選から漏れてしまうのです。


小バコを推奨する理由の一つとして、1つのシーンの中に、誰が登場しているのかが、明確にわかるということです。
撮影に使う台本に、役者さんの出番スケジュールを書いた香盤表というものがあります。
その香盤表を、皆さんが作る小バコの中に入れ込んでおくと、どのシーンで誰が登場しているのかが、一目瞭然になります。



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当然、主人公はそのシナリオの中で登場回数、登場シーンが一番多いはずですので、誰が主人公なのか?なんていう疑問を審査員に沸かせることはありません。
また、主人公は誰なのかだけではなく、主人公を変化成長させる副主人公が誰なのか?も、明確にすることができます。
副主人公は、主人公の次に多い出番の人物なので、当然のこと小バコに出てくる登場回数、登場シーンも二番目になるはずです。

主人公、副主人公を初めとする登場人物の出番、登場シーンの頻度を作者が認識していれば、一体誰が主人公なんだ……?などの、いわゆるブレてしまう話になることはありません。


小バコをお薦めするもう一つの理由に、シナリオ本文を書き出す前に、予めシーン数を決めておけるということです。
シナリオコンクールは、相変わらず1時間もの募集が一番多いと思います。
1時間もののシーン数は、おおよそ50シーン前後と言われています。
もちろんジャンルや内容によって、必ずそうしなければならないというものではありません。
ただ、1時間ものなのに、シーン数が100以上あったり、逆に極端にシーン数が少なかったりしたら、読む者、審査員に違和感を抱かせてしまう原因になることは間違いありません。
このように、つまらない違和感を審査員に持たれないためにも、構成には小バコを作ることが有効だと思います。


小バコをお薦めする理由の三つ目は、前回の記事でも述べましたように、シナリオの起伏、つまり盛り上がるところと、落ち着かせるところのメリハリを、しっかりと区分できるということです。
当然、冒頭のシーン付近では、主人公を初めとする人物の謎を提示したり、ショッキングなシーンから入ったりと、目を引くシーンにしなければなりません。
中間部分では、盛り上がりと落ち着かせを、上手に組み合わせる必要があります。
クライマックスは、一番の盛り上がりを見せる場面ですので、それ相応のシーンを考えなければならないでしょう。
結末の部分では、余韻を残すシーンにするなど、どういったラストが相応しいのかを考える必要があります。
要するに、小バコを作ってしまえば、シナリオ本文を書くのが、さほど大変なことにはならないのです。
したがって、シナリオを書くスピードも増していくでしょうし、
スピードが増せば、たくさんのコンクールに応募できることにも繋がるはずです。


このように、小バコを作ることによって、これから書いていくシナリオ本文の全体像が見えてくることが、作者にとっては、最大の利点だと思うのです。