シナリオコンクール対策の創作交流サークル「サロン」

シナリオコンクール対策の創作交流サークル「サロン」は、シナリオ公募コンクール受賞のためのノウハウを徹底的に追求していく唯一無二のサークルです。

シナリオコンクールで引っ掛からない原稿の特徴

こんにちは。サロンの吉野です。
シナリオのコンクールを受賞する方法とか秘訣などを特集している雑誌やブログがあります。
創作交流サークル サロンもシナリオコンクール受賞のノウハウを追求していくことでは全く同じです。
これまでの記事でも、どうしたら受賞することができるのかに焦点を当てて、話をしてきました。
しかし今回は、着眼点を変えて、「何をしてしまったら、コンクールに引っ掛からないのか?」という全く逆の視点でお話をしたいと思います。
発想を変えるだけで、各人それぞれの弱点克服に繋がることを願っています。


コンクールで読まれない原稿
シナリオコンクールでは、とにかく審査員に気持ち良く、皆さんの書かれた原稿を読んでくれることが大切です。
私もいくつかのコンクールの審査に携わってきましたが、引っ掛からない作品には、共通のダメな点があることに気づいたのです。
今回はその共通要素について、お話していきたいと思います。

 
1.初めの10枚が面白くない
初めの10枚を面白くするということは、皆さんどこかで必ず聞いているはずです。
ただ、審査員が何で面白くないと思うのかを分析されている方は少ないのではないでしょうか。
ここでは、初めの10枚が面白くない原因について述べます。


A.ジャンルがわからない
最初の10枚を面白く読めない原因の一つに、この話のジャンルは一体何なのか?という疑問が残ることです。
審査員は原稿を読み始めて、無意識のうちに、その物語のジャンルを掴みます。
ところが10枚を過ぎても、コメディなのか、はたまたシリアスなのかすらわからない原稿に出くわすことがあります。
また、ストーリージャンルとしても、ラブストーリーなのかアクションものなのかの区別もつけられないような原稿があります。
「そんなこと自分には絶対にあり得ない……」と思っている方。
もう一度、過去に落選した作品を確認をしてみてください。
思わぬ発見があるはずです。

B.主人公が一体誰なのかがわからない登場のさせ方
審査員は出だし数枚で、誰が主人公なのかを判断します。
その際に、一体誰が主人公なのかがわからないような書き方をされると、混乱してしまいます。
例えば、ファーストシーンで、

○喫茶店
 A子とB子とC子が、座って話している。

のように、複数の人が同時に出てきて、話しをしているようなシーンから入ってしまう場合です。
一応A子が主人公という設定のつもりですが、読んでいる側には全くわかりません。
とにかく主人公は主人公らしい粒のたった登場のさせ方をしていただきたいと思います。

C.やたらと登場人物がたくさん出てくる
1時間もののでは、登場人物はせいぜい5、6人だとお話してきました。
それにも関わらず、出だし10枚にやたらと人物を登場させる原稿があります。
出だしは主人公を中心とした人物配置に徹して、余計な人物を出さないことが大切です。

D.10枚の中でも、さらに出だし2枚に力を注ぎ込む
初めの10枚が大切なことには変わりはありませんが、その中でもさらに出だし2枚に力を入れることをお勧めします。
初めの10枚を面白くする!と誓っても、最初の2、3枚がだらだらとした内容で進んでいたら、せっかく努力が台無しになってしまいます。
審査員の集中力を喚起される意味でも、冒頭の冒頭に力を入れていただきたいと思います。

E.インパクトの全くない出だしの入り方
状況説明や人物紹介だけに10枚を使ってしまうのは、とてももったいないことです。
とにかくストーリーを前に進めて、この先に何が起こるだろうという期待感を審査員に持たせることが大事です。
そのためにインパクトのあるシーン、インパクトのある主人公を中心にした人物の登場のさせ方を心がけてください。



2.あらすじがとにかく下手
あらすじを書くのが苦手な方は、コンクールでは大きなマイナスになります。
とにかく本文と同時に、あらすじも上手く書けるように訓練していただきたいと思います。


A.冒頭三行に文字通り三行ストーリーを入れる
あらすじは、800文字から1000文字という指定が一般的ですが、その冒頭100文字に、いわゆる三行ストーリーを入れていただきたいのです。
三行ストーリーは、その話の売りを示す文章です。
それを最初に審査員に訴えることで、その後の審査に好影響を与えることになります。
とにかく審査員は、この話はどういう話なのかを、出来るだけ早く知りたいのです。

B.あらすじは主人公の三人称一視点で書くのを基本にする
コンクールで引っ掛からない人は、あらすじを複数の人の視点で書いてしまうことがよくあります。
とにかくあらすじは、主人公の視点で書くようにしましょう。
中でもお勧めなのは、三人称一視点で書くことです。
例えば、どうしても副主人公の視点を入れなければならない場合、「一方、誰は……」のような言い回しが三人称一視点では出来るのです。
作品によっては、一人称一視点でも大丈夫なものもありますので、上手く使い分けてください。

C.結末まで書けていない
あらすじは、話の結末までしっかりと書かなければダメです。
例え、犯人を当てるミステリー仕立てだとしても、犯人は誰かも含めて、結末まで書くようにしましょう。
審査員は犯人は誰かよりも、その作品の完成度を知りたいのです。
どういう発端があって、どんな葛藤があり、どういう結末を迎えるのかが重要なのです。
それを知る上でのあらすじなんだということを理解していただきたいと思います。



3.読む人の気持ちになっていない原稿
コンクールで引っ掛からない人の特徴として、審査員の気持ちになって原稿を仕上げていない方が非常に多いように思います。
ここでは、その具体的な例をあげてお話していきたいと思います。

 
A.とにかくレイアウトが酷い
他人が読んだときに、どういう原稿が一番読みやすいのかを、全く考えていない作品があります。
内容はさておいて、レイアウトが読みやすいだけでも、コンクールでは大きな加点要素をもらえますので、読みやすいレイアウトを十分に研究していただきたいと思います。

B.後になってわかるでは遅い
「後でこういうことになるんだということがわかるんです」というようなことをおっしゃる方がいます。
もちろんシナリオでは、秘密の要素を作ることが必要な場合があります。
後でわからせることも大事なのです。 
しかし、秘密にしなければならないことと、秘密にしてはいけないことの区別をきちんとつけることが、コンクールでは大事になってくるのです。
その区別を勉強することを「構成」と言います。

 
以上、コンクールで引っ掛からない人の特徴について述べてきました。
初めにも述べましたように、皆さんの過去に書かれた作品を確認していくところから、その対策が始まるのだと思います。



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