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テレビドラマの魂

こんにちは。サロンの吉野です。
以前の記事で、元TBSのプロデューサーだった大山勝美さんとのお仕事での会話を載せましたが、その大山さんがプロデュースされた『想い出づくり』が、昨日からBS12で再放送されました。山田太一さん脚本作品です。


放送開始が1981年ですので、今から38年前の作品になります。
出演者の森昌子さん、古手川祐子さん、田中裕子さん、柴田恭平さんたちが若いのは言うまでもないのですが、家族を囲む卓袱台での夕食など、当時の日本人の生活を懐かしい思いで拝見しました。
特に独り暮らしの女性の生活ぶりが面白かったです。
住んでいる部屋は六畳一間。
バスタブのない部屋で、あるのは組み立て式のシャワーユニット。
このドラマの7、8年後であるバブル期のドラマ、いわゆるトレンディドラマの中では、同じような独身OLが百平米のワンルームマンションに、独りで住んでいました。
しかもバブル期では、観ている視聴者も、憧れこそあったかもしれませんが、その主人公たちの描写を特別な違和感もなく観ていたような気がします。
「もしかしたら、私にもこういう生活ができるかもしれない……」と。
たった10年弱の時間経過ですが、日本も、そしてテレビドラマも大きく変動した時期だったように思います。


テレビドラマの役割
このようにテレビドラマには、時代を写す鏡のような役割があると思います。
1980年初期は、高度成長も落ち着き、安定成長期に入りましたが、まだまだ貧しい頃の日本の面影が残っている時代でした。
80年代末から90年代初期は、まさに日本全体が好景気に浮かれまくっていた時代です。
テレビドラマには、その時代時代の風俗が色濃く残されていきます。
それでは今の日本。そしてテレビドラマはどうなっているでしょうか。


テレビドラマの現状
『想い出づくり』が初めて放送された1981年。この時、「今の時代はこういう時代なんだ……」などと思って観ている人はいません。
この時は、リアルな「今」だからです。
また、バブル期に浮かれた90年代初期のドラマを観ていた人も、「こんなに浮かれまくっていて、大丈夫だろうか……」などと思って観ている人も、もちろんいないと思います。
この時も、リアルな「今」だったからです。
それでは「今」2019年にテレビドラマを観ている人はどう感じているのでしょうか?


テレビドラマの創作者の姿勢
80年代も90年代も、その時代時代を切り取っていく脚本家、シナリオライターがいました。
もちろんドラマは、脚本家だけではなく、プロデューサーやディレクター、俳優の方々、その他スタッフ、スポンサーなどの協力のもとに創られるものです。
ただ、誰がイニシアチブを取っても構いませんが、今の時代はこういう時代なんだ、ということを強く意識した作品を創っていただきたいな、と思います。
一回売れた作品のリメイクやリメイクもどきの作品などではなく、また、海外ドラマや安易に漫画原作から企画を引っ張ってくるのではなく、創られる方、オリジナルの時代感の入った作品。
そして後の世に、「2010年代後半はこういう時代だったんたよ」と語れるようなテレビドラマの作品。
そのようなテレビドラマが提供されるのを望む今日この頃です。



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