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サスペンスを盛り上げるコツとは?  

こんにちは。サロンの吉野です。
昨日はゼミがありました。
テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞ドラマ部門のお題「サスペンス」を想定した100文字ストーリーの発表が複数あり、盛り上がりました。


今さらではありますが、サスペンスの定義は、観客、視聴者をハラハラドキドキさせること、また、そのようなシチュエーションを作ることにあります。
ただ、今まさに主人公たちが置かれている状況に、何か起こるのか全くわからないというハラハラドキドキ感も面白いのですが、より一層のサスペンス感を煽る方法があります。
それは「主人公が遭遇する危機を、観客、視聴者は予めそれを知っている」というシチュエーションを作ることです。


今まさに主人公が遭遇する危機を、観客、視聴者は事前に知っているサスペンス性
登場人物である主人公と、それを観ている観客、視聴者が、同時進行でハラハラドキドキさせられるシチュエーションを体験できるパターンがあります。
もう一つ、実は予め観客、視聴者は主人公が遭遇する危機を知っていて、その危機を主人公はどう乗り越えていくのか? あるいは乗り越えられないのか?で、観客、視聴者がハラハラドキドキさせられるパターンも、サスペンス性としては、より面白いものになる可能性があるのです。
後者のパターンが使われている代表的な映画をご紹介します。


観客の視点を巧みに利用してサスペンスを盛り上げる手法
例に上げるのは『羊たちの沈黙』という作品です。
アカデミー賞作品賞、主演女優賞等を獲得した名作になります。
羊たちの沈黙』という映画をジャンルで括ると、「ゴシックスリラー」とか「ゴシックホラー」と呼ばれることが多いようです。
また、「サイコホラー」とか「サイコサスペンス」という呼び方も一般的にされています。
確かにハラハラドキドキさせられるシーンが非常に多いことからも、「サスペンス」の代表的な映画の一つと言っても良いのではないでしょうか。
羊たちの沈黙』の中で、「今まさに主人公が遭遇する危機を、観客、視聴者は予めその危機を知っている」というサスペンスシーンは、クライマックスに訪れます。
主人公のFBI捜査官の研修生であるクラリス(ジョディ・フォスター)は、若い女性を殺し、その皮膚を剥ぎ取る猟奇的殺人犯、バッファロー・ビルのアジトに辿り着きます。 
そしてクラリスは、目の前にいる人物がバッファロー・ビルだとわかり、彼も来訪者がFBI捜査官であることを知ってしまいます。
バッファロー・ビルは部屋の照明を消し、クラリスは何も見えない状況に陥ってしまいます。
用意周到なビルは、暗視スコープを身につけ、真っ暗な状況でもクラリスの姿を見ることができます。
一方クラリスは、文字通り手探り状態でビルの対峙しなければならなりません。
そこへビルがクラリスに向かって突きつける拳銃がアップで映ります。
ビルの暗視スコープが観客の視点と一体になって、否応なしにサスペンス感を盛り上げます。
その結末は……?
映画を観ていない方もいらっしゃるかと思いますので、申し上げません。
いずれにしても、サスペンスシーンとしては、非常に素晴らしい出来でした。
まさに観客とバッファロー・ビルの視点を一体化させることで、観客に予め主人公クラリスの危機をわからせる手法を取っているのです。
それがハラハラドキドキ感を、文字通りクライマックスまで持っていく役割を果たしていました。


サスペンスはプロットではなく、シーンを考えること
今回のテレ朝のお題である「サスペンス」を構想するときに、『羊たちの沈黙』の例にみるように、物語の筋(プロット)を重視するのではなく、如何にハラハラドキドキさせる「シーン」を考えることに注力すべきだと思います。

要するに、「サスペンス」はストーリーではなくシーン!
ここにポイントを絞るのが得策のように私は思いました。



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